7.冬虫夏草の実際の効果と使い方
易感冒(風邪をひきやすい)、鼻きゅう(花粉症)の予防
冬虫夏草1日0.5〜3グラムを飲んでいると風邪をひかなくなり、花粉症を予防してくれます。3か月〜半年の飲用が必要です。胃腸や肺が弱い(脾肺の気虚)人には、冬虫夏草に補中益気湯や六君子湯、黄耆健中湯などを加えるとより効果的です。鼻きゅうの発生時には、冬虫夏草単独で使用しても改善が見られます。
風邪をひきやすかったり、花粉症にかかりやすいのは、肺の機能や胃腸の機能が充実していれば、邪気に対する抵抗力も充実します。冬虫夏草は、肺や胃腸に力をつけ、免疫力を強化してくれるのです。
邪気:自然現象中にあらわれる 風、寒、暑、湿、燥、熱(火)を六気といい、その六気が突然、あるいは激しく変化すると、人体に影響を与え、発熱の原因となります。発熱の原因となった、六気をそれぞれ 風邪、寒邪、暑邪、湿邪、燥邪、熱邪とよび、あわせて六淫あるいは六邪とといいます。六邪はいずれも口、鼻、体表から体内に入ります。寒気のするかぜは、風寒の邪が入り込んで発病したものです。
咳嗽、喘息
緩解期に冬虫夏草単独で小児は、1日0.5〜2グラム、大人は、1日1〜6グラム。風邪をひきやすい、胃腸が弱い(脾肺の気虚)人には、冬虫夏草に補中益気湯や六君子湯などを加えると効果的です。咽喉がイライラする咳、咽喉が乾燥する咳(肺の陰虚)や弱々しい咳、干咳(気陰両虚)の人には、冬虫夏草に麦門冬湯や味麦益冬湯、黄耆健中湯などを加えると効果的です。
とくに小児喘息の根治法として優れています。冬虫夏草単独で使用してもかなりの改善が見られます。
肺の気が不足すると風邪をひきやすかったり、咳がいつまでも続いたりします。つまり肺の力不足によりいつまでも咳が続いたり、すぐに喘息をおこしたりすることがあるのです。このような体質には、冬虫夏草がよく効いてくれます。また咳や喘息が長年続いていると肺や咽喉を潤す力が不足してきます。これを肺陰虚といい、このような体質にもよく効果を発揮してくれます。
肺気腫
肺気腫になると初期では、長く歩いた時や階段を上る時等に息切れし、ひどくなると着替えや入浴、話をするにも苦しくなります。特に空気を吐き出すことが困難になります。
冬虫夏草1日3〜6グラムを飲んでいると症状が改善してきます。風邪をひき易い、疲れ易い(肺の気虚)人には、冬虫夏草に補中益気湯を加えて飲むと効果的です。疲れやすく、痰がからまり易い(肺の気陰両虚)人には、冬虫夏草に麦門冬湯や味麦益冬湯また、黄耆健中湯などを加えると効果的です。
肺の基質的な問題であるので、完全に治ることはないが、冬虫夏草の肺の機能を丈夫にしてくれる力を利用すると息切れなど症状の改善は、顕著に見られます。
夜尿症
原因を大きく二つ分けると精神的なものと肉体的なものに分けられます。冬虫夏草1日0.5〜2グラムを飲んでいると改善されています。ストレスがかかると発症する肝鬱(精神的なもの)には、冬虫夏草に柴胡桂枝湯を加えると効果的です。肉体的なものでは、体力がなく、疲れやすい、食欲がない(脾肺の気虚)人には、冬虫夏草に補中益気湯や小建中湯などを加えると効果的です。冷たいものを沢山飲む、尿が黄色く臭いがきつい(肺熱、胃熱)人には、冬虫夏草に白虎加人参湯、半夏瀉心湯などを加えると効果的です。
冬虫夏草は、もともと腎の機能を活発にし、力をつけてくれます。
慢性腰痛
慢性の腰痛は、なかなか根治しにくいものです。肉体的な疲労や精神的な疲労により悪化したり、冷えや寒さにより悪化したりします。また、腎疾患や胃腸障害などから発生する場合もあります。冬虫夏草は、慢性の腰痛対して大変良く効果を発揮してくれます。特に老人の腰の疲れ(腎の気虚)、腰の冷え(陽虚)などの慢性の腰痛には、単独で1日1〜3グラムを飲んでいると痛みがやわらいできます。また冬虫夏草に八味丸や六味丸などを加えるとより効果を発揮します。
慢性腎炎・ネフローゼ
慢性腎炎やネフローゼになると尿に蛋白がで、全身の倦怠感、やる気がでないなど漢方で謂う気虚の症状がでます。冬虫夏草1〜6グラムを飲んでいると症状が改善されてきます。疲れやすい、冷える、腰が痛いなど(全体の気虚、腎の気虚〜陽虚)の人には、冬虫夏草に補中益気湯や八味丸などを加えて使うとより効果が発揮されます。
特に冬虫夏草を飲んでいると体力がつき、風邪をひかなくなるので慢性腎炎やネフローゼの悪化を防いでくれます。
慢性腎不全
数年〜10数年かけて徐々に腎機能が低下してくる病気です。通常の2分の1以下に低下すると慢性腎不全と呼ばれます。腎機能が5分の1以下になると自覚症状がでます。夜間多尿、むくみ、疲れ易い、食欲減退、口臭、皮膚の痒みなどが主な症状です。冬虫夏草1日3〜9グラムを使いますと症状が改善されてきます。夜間の多尿、むくみ、疲れ易い、手足の冷え(腎の気虚〜陽虚)のある人には、冬虫夏草に八味丸や六味丸などを加えると腎機能の低下の進みを緩和してくれます。
糖尿病
動物実験によれば、冬虫夏草をあたえるとインスリンの分泌を促進することがわかっています。漢方では、糖尿病を五臓六腑に熱がこもっている時と五臓六腑が衰弱している時の2つに大別し、6つのパターンに分けています。熱がこもっている時は、多食、多汗、口渇(のどのかわき)が主な症状で、1多食、多尿、口渇、多汗など(肺胃実熱〜燥熱津傷)、2多食、便秘など(胃実熱〜腸燥津傷)、3ユ腹痞悶、便溏など(胃腸湿熱)の3つにパターンがあります。内蔵が衰弱してくると疲れやすい、息切れなどが主な症状で、1疲れやすい、咽燥鼻干、息切れ、皮膚枯燥、便秘など(肺胃陰虚)、2疲れやすい特に手足、便溏など(脾胃気虚)、3疲れやすい、足腰に力が入らない、手足の冷えまたはほてりなど(腎陰陽両虚)の3つのパターンがあります。冬虫夏草は、どちらかというと五臓六腑が衰弱してきた時によく効果を発揮してくれます。冬虫夏草1日1〜9グラムを飲んでいると舒々に改善が見られます。冬虫夏草に補中益気湯や八味丸、六味丸などを加えるとより効果を発揮してくれます。五臓六腑に熱がこもっている時は、漢方処方の白虎加人参湯、大柴胡湯、防風通聖散などと併用するとよいです。
アトピー性皮膚炎の根治に
患部が赤く滲湿液が多く痒みがひどい(湿熱)、患部が赤くかさつき痒みがひどい(血熱)が治まってきたら、五臓六腑の弱いところ(素体の虚)にしたがって冬虫夏草に漢方処方をくわえていきます。冬虫夏草1日0.5〜3グラム。漢方処方は、例えば参苓白朮散、六君子湯、六味丸、補中益気湯、麦門冬湯などです。アトピー性皮膚炎の根治させるには、漢方で長期にわたる体質改善が必要です。処方をする方も服用する方もたいへん根気がいります。よく相談をして改善をはかって下さい。
神疲乏力
神疲乏力とは、肉体的、精神的な疲労のことをいいます。冬虫夏草は、肉体的な疲労、スポーツやゴルフをする前に0.5〜3グラムを飲んでおくと筋肉疲労などが残らずにすみます。また精神的な疲労にもよく、冬虫夏草を飲んでいるとストレスに対して緩和してくれます。くよくよしたり、やる気がおきなかったりする状態を改善してくれます。
夏バテの防止、冷房による倦怠感、慢性的な疲労、ストレスを受けやすい体質の人には、最適です。
これは、冬虫夏草の肺、肝、胃腸、腎にエネルギーを蓄えてくれる力によるものです。
冷え性
疲れやすく、風邪をひきやすい人(気虚)や足腰が弱く、夜間尿があり、とくに足腰が冷える(腎陽虚)冷え性に冬虫夏草1日0.5〜3グラムを飲んでいるといつの間にか冷え性が改善し、夜も寝られるようになることが多いのです。気虚には、冬虫夏草に補中益気湯や六君子湯などの漢方処方を加えると効果的です。陽虚には、冬虫夏草に八味丸、陽虚で胃腸が弱い場合は、真武湯などを加えると効果的です。また女性では、冬虫夏草に当帰芍薬散、逍遥散などを加えるとなお効果を発揮します。
不孕
不孕(ふよう)とは、不妊症のことです。身体の力不足(全体の気虚)のために子宮に栄養やエネルギーが行き届かず子供ができない、子宮を温める力不足(腎陽虚)のため健全な子宮環境を調えることができない、卵子や精子をつくる能力が足りない(腎精不足)不妊症に冬虫夏草1日1〜6グラムを飲んでいると子宝に恵まれることがあります。全体の気虚には、冬虫夏草に補中益気湯合当帰芍薬散など、腎陽虚では、十全大補湯や八味丸など、腎精不足には、補中益気湯合六味丸または八味丸などを加えるとより効果的です。最近では、男性不妊、精子の量が足りなかったり、精子が死滅していたりすることが多く見られるようになりました。このような人には、冬虫夏草が最適です。
癌
冬虫夏草には、免疫力を強化する作用があり、癌の免疫療法へのきたいが出来ます。
他のきのこ類にも免疫力を強化する作用がありますがその中でも冬虫夏草はずば抜けています。冬虫夏草1日5〜20グラムを飲んでいると癌の縮小が期待されます。また、抗ガン剤の副作用を軽減したり、体力の低下を防いでくれます。肺癌には、冬虫夏草に六君子湯や補中益気湯、麦門冬湯などを加え、肝癌、膵臓癌には、冬虫夏草に紫芍六君子湯や田七人参、補中益気湯などを加え、白血病には、冬虫夏草に帰脾湯などを加えると好結果が期待できます。随時活血薬や清熱薬などを加える考慮も必要です。手術後や予防には、最適です。年と共に免疫力は、低下していきますので、癌に限らず、病気の予防に使用できます。